ATO PRIVATE RESIDENCE | 2012

Location : Ashiya-shi, Hyogo
Structure : ー
Size : 3 stories
Site area:186.07㎡
Construction area : 99.69㎡
Total floor area : 268.31㎡

阪急の芦屋川駅に近い建築予定地は、阪急電鉄・JR・芦屋川に囲まれた緑豊かで閑静な住宅地に位置している。北に道路を配し、南は一段下がる土地と接することで、明るい風が通り抜けるというような、印象ある建築場所であった。住宅地である故に、隣接する建物とのプライバシー確保という条件の中ではあったが、クライアントからイメージする「明るく透る」という光と風で創造したいと考えてみた。高い位置から見る南の風景には、大きな空が広がることを想像させる。北は様々な条件を満たす為にも閉じるということも考えたが、「明るく透り抜ける」という大きな印象の中に、必要に応じて閉じることができるような明るさを想像してみるのも必要であると考えた。
正面となる北側にも大きく開口を確保し、大きく張り出した庇によって視線を調整する機能を持たせる。この大きな庇が陰影を産み、美しい水平方向に流れるラインが芦屋川に隣接する美しい風景を連想させてくれると考えた。さらに、見る角度により大きく表情を変えるということが、この地域に存在する建築として豊かさと美しい存在でありたいということを意識している。
1階部分には、土地として持ち合わせた1段上がった場所と掘り下げられた場所に、趣味の空間を変化のある空間でつなぎ、視線とその先にある楽しさを連想させるものとして考えた。また、訪問者にも魅せ感じるものとして、映しださせるものと想像している。中間層には、プライベートな空間をまとめながらも生活の流れの中にフレキシブルで利用しやすいものであり、変化することを意識している。3層に渡るそれぞれの空間は、吹抜けを介してつながりを持ち、EV を設置することで高さというストレスを解消。住む人に自由で心地よい場所を見つけることを想像している。
そして、大きく繋がった最上階には、テラスとして位置する空間が広がり、それぞれの場所を結ぶ。テラスの外部要素を室内に取り込み、リビングという室内空間との関係性をより近いものとして考えた。この空間が生活を多様に変化させる場所となり、家族が、人と人が、風と光が通う、〈ひだまり〉のような気持ちのよい空間となり、新しい暮らしの価値観を見出すものとなることを創造している。