この街区の中で唯一、層を感じさせる土地であり、この一層重ねられた場所の中である方向性を示す平坦な形状が既に存在していた。この形状に反することなく、計画を進めようとする行為の中で、海と山を自然につなぎ合わせ、その場所に適切な枠組みを構成し、無理なく方向性を示していくということを創造してみた。方向性という規則を設け、自然と導かれた一定方向に広がる視界の先には、東から上る太陽の移ろいを、夜には遠く輝く街のひかりを感じることができる。中心に開かれたコアとなる空間に重なるように連ねた空間が混じり合い、それぞれをつなぎ、シンプルに方向性を示す。そして、そのひかりに導かれるように正しく枠取りされた美しい風景をそれぞれの場所で写し出すことが、この場所に与えられた自然を享受するものと考えると同時に魅力を写し出すことができる操作と考えています。